高齢者の転倒予防には筋トレをしても意味がない!?

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総務省の2016年度の高齢者数の動態を発表

総務省統計局は日本の高齢者動向をまとめたレポートを発表しました。その内容によれば日本の65歳以上(高齢者)の人口は2016年9月15日時点で3461万人となり、総人口比は27.3%になったとのこと。総人口に占める割合が1/4を超えたのは2014年から継続して3年目連続となり、前年からさらに人口・割合共に数字を上乗せし、過去最高となりました。

このように日本は全人口の4人に1人が65歳以上の高齢者という超高齢化社会です。しかし現代の高齢者は、高齢者と言っても一昔前の高齢者とは違い見た目が若い人が多いですよね。大きなケガや病気、深刻な持病などない限り実年齢には見えない方がホントに増えました。しかし元気で若々しい高齢者もある事がきっかけで、急に老け込んだり、寝たきりになってしまう事故があります。

それが転倒です。

転ぶということは、日常生活中いつ何時起きてもおかしくない、大変身近な事故です。

普通に生活していても道路で転んだ、家の部屋や風呂場で転んだなど頻繁に遭遇します。

ケガをした瞬間から筋肉は落ちていく

一般的な統計でも高齢者の寝たきりになる原因の中で、多いのが転倒によるものです。転倒により脳外傷や大きな骨折に見舞われた際、安静臥床が長びきます。これにより筋肉の衰えるいわいる廃用性症候群が進行し、日常に行えていた歩行などの移動能力が低下します。これに加え高齢者特有のうつ状態の悪化などが伴い、意欲の減退まで発展してしまいます。そうなることにより活動量が低下し筋肉を使わなくなり、ますます筋肉は衰えていきます。

この筋肉の衰えるスピードは驚くほど速やく、生体防御反応の作用によりなんとケガをした瞬間から筋肉が落ちていき、安静による筋力低下は健康な人でも1週目で20%、2週目で40%、3週目で60%と言われていてます。一方で衰えてしまった筋肉を回復させるためにはかなりの時間を要します。1日安静していたことによる筋力低下を回復させるためには1週間を要し、1週間の安静が続くと失われた筋力を戻すのに、1か月かかると言われています。

高齢者は、一旦筋肉が衰えると回復に時間がかかるうえ、体力が弱くリハビリ自体を苦痛に感じ、さらに動かなくなって廃用症候群が進行してしまいます。

このように健康な高齢者は転倒をきっかけにあっというまに寝たきりになってしまいます。ではどうすれば高齢者の転倒を防げるのでしょうか?

誰もが口をそろえて”筋トレでしょ!”と言いますよね!

たしかに筋力が一番大事なのは確かですが、これはすべての高齢者にあてはまるわけではありません。

筋トレだけでは転倒リスクは減りません

高齢者の中には介護を必要とする身体機能の低い高齢者から、介護を要さない身体機能の高い健常高齢者まで多岐にわたります。身体機能の低い高齢者の転倒原因は、やはり下肢筋力の衰えが主な原因になるため、第一に下肢の筋トレが推奨されます。しかし身体機能が高く下肢筋力がしっかりしている健常高齢者は、下肢筋トレを行っても転倒のリスクが減少しないという研究結果が出ています。

”えっ!足を鍛えてもころんじゃうの?”と思いますよね。そう転ぶのです。

実はこれには転倒のメカニズムが関与します。転倒の細かい原因をあげると

  • 視力や距離感覚が落ちているため段差や障害物認識を誤る
  • 足が思った以上に上がらず段差や障害物にひっかかりつまづく
  • バランスをくづしやすくその際にくづれたバランスを修正しにくい

などの運動能力と認識・記憶し、それが何であるかを判断したり解釈する認知能力があります。

そしてこれらが組み合わさったもう一つ大事な能力があります。

それが二重課題能力です。簡単な例を挙げると、、、

  • 水の入ったコップをこぼれないようにに持って歩く
  • スーパーで料理のレシピを考えながら食材を選ぶ
  • 道路を人と会話をしながら歩く

など2つ以上の目的動作を同時進行で行う、注意を伴った情報処理能力です。

この二重課題能力は「二重課題遂行能力」もしくは「注意分配能力」と呼ばれており、この能力は加齢と共に低下していきます。
例えば高齢者が集団で行うゲームやリズム運動などを行う中、動きを促進するために声をかけたり、音楽のリズムに合わせて動いたり、外部からの刺激に対応しきれずに動きが止まったり、バランスを崩しそうになることがあります。音楽や周囲の人達に動きを合わせたり、次の運動を思い出すといった認知能力と姿勢を保持したり、筋力を発揮したりといった運動能力が様々に組み合わされた動きが求められます。

この二重課題能力の低下により、身体機能の高い健常高齢者は転倒してしまいます。

したがって家族や介護の現場での転倒防止のための、トレーニングを効果的にすすめるためには、ただやみくもに”いっぱい歩いて!”や”筋トレして”ではダメなんです。しっかりその対象となる高齢者の能力を見極めた上でトレーニングをすすめなければ意味がないのです。

普段の生活でも簡単に二重課題トレーニングは行えます。例えば100から1ずつ引き算をしながら歩いあたり、コップに入った水をこぼさないように歩いあたり、、、

最後に一言

私達が生きる現代の超高齢化社会では、家族や近しい人たちなど高齢者との関わりが大変身近になっています。周囲の人達の正しい知識とちょっとしたアドバイスで、高齢者の転倒リスクを減らせることができます。このブログを通じて一人でも多くの高齢者が転倒することなく、いつまでも元気で楽しく暮らせる人生を送れる手助けになれば幸いです。

 

 

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