書籍「ビッグデータ・ベースボール」に学ぶ  ②人間関係を疎かにしては何も始まりません

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前回は書籍「ビッグデータ・ベースボール」でのいかにデータを生かし球団が成果を上げたかを、野球の戦術面に焦点を当てて紹介しました。

このビッグデータを生かした戦術は、コンピューターを使っての最先端の情報収集技術を駆使してのものですが、これを最終的に扱って結果を出すのは結局人間です。

野球の世界では球団関係者、監督、コーチ、選手、それを支える多くの裏方スタッフなど様々な人々が関わり、これらの人々の人間関係、目的意識、やる気などを疎かにしては何も始まりません。

書籍「ビッグデータ・ベースボール」ではこのような、人と人との関わりの部分に注目し多くの部分で触れています。

そこで今回はこの本の中で繰り広げられた、人間関係に関わるエピソードをいくつか取り上げていきます。

まずはこれらのエピソードに関わる主要な人物3人を紹介します。

  • 監督クリント・ハードル・・・現場であるチームのかじ取りをまかされている現場責任者
  • 分析官ダン・フォックス・・・データを解釈、分析しそれを元にチームの戦略方針、戦術を立案する役割
  • 捕手ラッセル・マーティン・・・チームの戦略方針である3本矢の一つ、ピッチフレーミング技術を得意としたキャッチャーで、他の球団では終わった選手と見なされていた

分析官と監督の初対面

最初データ野球を取り入れるのに懐疑的だった監督クリント・ハードルは、分析官ダン・フォックスと初めて話合いを持ちます。

ハードルは、自身の野球に関する知識や経験で培った戦術面の構想を、プロの野球経験がないフォックスに委ねるのに不安がありました。

しかし、ここまでのマイナーリーグでの実験的検証により、データに基づく戦術の革新が有効だと認めざるおえないと判断し、前向きな話し合いの場を持つことにしました。

ハードルは口癖の中に感情は事実でないし、事実は感情ではないという言葉を度々用いるように、感情に支配されない客観性をもった現実的な判断をしようとする人物です。

そんな彼でもやはり自身の持っている不安を解消すべく、話し合いにより不安を払拭したいと考えます。

また、この話会いで下されるデータ戦術を積極的に取り入れるという決断には、いわばチームの命運がかかっており、自分も含め球団に関わる全ての人の人生をも左右する判断になるからです。

人の感情として、データを提供されそれを用いる場合、提供する側の人物が信頼に値しなければ、与えられたデータも信用できず、せっかくの有効なデータも現場が信じて使うことができません。

これは、野球に限らず組織は人と人との関係の集合体であり、人間の感情面を考えるとごくまっとうなことでしょう。

その辺の見極めのためハードルは、フォックスの人となりを見定めた上で完全な判断をしようとします。

ハードルフォックスとの話合いで、野球の話ばかりでなくお互いの家族、趣味、信仰、過去の経歴などについも胸襟を開いて話し合いました。

それを通じてハードルフォックスが、IT関係の人間によくあるようないつもいらいらしていて、どこの言葉をしゃべっているのがわからないような人物でないことを学びます。

これをきっかけに話し合いの機会を頻繁に設け、データを用いた戦術の重要性だけではなく、それを提供する人物の顔と人柄について知り、信頼できる人物だと認識していきます。

分析官を受け入れよ!

次にハードルが取り組まなければならなかったのが、選手やコーチ達に自分のように分析官を認め受け入れさせることでした。

チームの方針である3本の矢 【守備体系、ピッチフレーミング、投球術】を実際に実行するのは選手達です。

また、個々の指示や方針の詳細な指導的役割をはたすのは各部署のコーチ陣達です。

ハードルはまず接触頻度を増やす目的で、分析官2名を選手やコーチ達が集うクラブハウスに常駐させ、コーチ達との毎日のミーティングにも常に参加させていきます。

それにより分析官はよそ物ではなく、チームの一員であることを認識させようとします。

しかし当初この2人がプロ野球経験がないということで、選手達はハードル同様なかなか受入れ難い態度を示し、分析官達も選手達のなかで居心地悪さを感じていました。

この当時、他の球団もデータを分析する分析官は存在していましたが、ここまで選手と分析官が密接に関係性を築いていた球団は存在しませんでした。

それはプロ野球選手達に、伝統的な野球常識や固定観念が強く意識として根付いており、データによる分析を軽視する傾向が強かったからです。

逆に分析官達も選手達が持っていた伝統的固定観念を受け入れず尊重していませんでした。

つまりお互いが認め合っていなかったということです。

ハードルは選手、コーチ陣に自分達が分析官よりも優れている考えててはいけない伝え、なるべく積極的に対話を試みるよう促します。

ハードルはただ促すだけでなく、データとは相いれない部分や、納得いかない部分はどんどん分析官に主張するように指示し、分析官達もそれをしっかり受け止め、お互いの意見を尊重するようにしていきました。

コーチ陣には特に自分達の主張をしっかり伝えさせることによって、自分達がしっかり権限を与えられ、チームに信頼せれていることを実感してもらえるようにします。

このように環境を整えることによって、お互いに自然と尊重、コミュニケーションの空気を作っていきました。

投手と捕手の信頼関係

投球において最も重要視されるのが、キャッチャーがピッチャーに投げる球の種類やコースを指示する投球のサインです。

ピッチャーは基本的にキャッチャーのサインに従ってボールを投げ込みます。

捕手ラッセル・マーティンが最も重要視しているのが、自分のやり方を投手が信用してくれなければ、どんな配球術も意味をなさないということです。

自分の出すサインは単なる「提案」に過ぎず、投手から拒否されればそれまでです。

ラッセル・マーティンは球団に、特にキーになる2人の投手の試合の様子が映った研究用のビデオを製作してもらいます。

シーズン開始前の春季キャンプ中には、練習以外の場で投手らと風呂につかりながら、野球の話ばかりでなく色々な会話をし、性格やどれくらい積極的な人間なのか読み取ろうと務めました。

またフライを取る練習などに参加して、投手ばかりではなく野手陣とも会話をしながら彼らの知識の深さ、投球・野球哲学を知ろうともしました。

マーティンは野球のピッチングとは、絶対打たれない投げ方や、投球術があるわけでなくただ自信をもって投げてもらえれば、良い結果が出るのではという程度のものだ考えています。

ある試合の際マーティンはピッチャーにサインを出したところ、投手は首を振ってサインを拒みました。

マウンドに向かって行き拒んだ理由を尋ねましたが、ピッチャーは要求したボールでなく自分が考えているボールでも打ち取れると答えます。

しかしマーティンは要求したボールでも十分討ち取れると伝えます。

そこで、ピッチャーはマーティンの指示通りの球を投げてみることにしたところ、見事にアウトを奪うことができました。

マーティンはこのような小さなことの積み重ねにより、投手との信頼関係を築いていったのです。

まとめ

ここまで3つのエピソードをご紹介しましたが、エピソード中の対人間関係のポイントを以下にまとめます。

  • 信頼関係を構築するために自身の先入観を捨て、相手を知ろうとする努力を怠らない。
  • 既成概念や固定観念にとらわれず相手を尊重する。
  • 部下など現場のスタッフに任せる部分は任せて、信用していることを実感してもらいやる気を引き出す。
  • 信頼を勝ち取るために、コツコツと小さな出来事を積み重ねて行く。

いくら科学が進歩し革新的な技術用いようともチームや組織は、人間同士の関わりを疎かにしてはうまく機能しません。

書籍「ビッグデータ・ベースボール」は、ピッツバーグ・パイレーツが球団、チームが一丸となっての戦術の改革を断行する姿を通して、いくら正しい理論を駆使しても人の感情をないがしろにしては、それを生かすことはできないことをおおいに学べる内容になっています。

会社や組織内でのストレスの原因ナンバーワンは、人間関係だそうです。

会社や組織運営のみならず、会社内での人間関係を円滑にする上でも参考になるなると思われます。

今回ご紹介した内容はほんの一部分に過ぎません。本編は更に盛りだくさんの内容になっておりますので、是非一読してみてはいかがでしょうか。

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