書籍「ビッグデータ・ベースボール」に学ぶ  ③緊迫した場面は体の負担が増加します

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先発ピッチャーのケガだけで1400億円の損失

書籍「ビッグデータ・ベースボール」で中心になっているビッグデータは、チームの勝利に結びつく戦術面の活用ばかりではなく、選手の負傷予防への活用にも用いることができます。

野球は消耗のスポーツと呼ばれるように、中でも消耗の典型的な結果が投手の負傷です。

調査によると、メジャーリーグでは先発投手が1シーズン中に負傷する可能性は平均50%にのぼると言われています。

先発投手は野球界で最も高額の年俸を受け取っていて、各チームの総額年俸のうち投手に支払っている分の比率が最も高いと言われています。

2008年~2013年にかけて、メジャーリーグ全体で故障者リスト入りした投手に支払った年俸はなんと13億ドル(1400億円)に達したそうです。

これは各球団の経営面で言うとかなりの損失になります。

トミージョン手術の増加

中でもチームにとって最も痛い負傷は利き腕の肘の内側側副靭帯の断裂で、その場合は肘の靭帯の再建手術(トミー・ジョン手術)が必要になりリハビリも含めるとなんと1年~1年半はチームを離脱することになります。

しかもこのトミー・ジョン手術によるチーム離脱は年々増え続けており、負傷の予防に関しては有効な対策の兆しが見えない状態です。

なぜこのように投手の負傷が多いかと言うと、プロ入りする程の選手達は子供の頃から年間を通じて絶えず投げ続けており、十代の頃になるとプロや大学のスカウトの目に留まろうと試合などでは無理をする傾向があり、肘にかなりの負担をかけてしまっています。

また近年は選手の体格の向上により投手の平均球速が上がりました。

球速が上がればそれだけ肘や肩にかかる負担も増えていきます。

投球による負荷を抑えてくれる筋力は鍛えられるものの、腱や靭帯は鍛えられないため内側側副靭帯(トミー・ジョン手術の患部)が負荷についていけず負傷してしまいます。

このように負傷の原因などは、はっきりしているのにも関わらず野球の世界では今もなお、一般的な負傷予防策として原始的な方法である投手が投げる球数を制限するという方法くらいしか用いられずにいます。

ビッグデータを用いた予防対策

そんな中、初めてデータを活用して投手の負傷予測と回避を実施したタンパベイ・レイズは投手のリリースポイント(球が指から離れる位置)に注目してトミー・ジョン手術に至る負傷率を下げることに成功しました。

ピッツバーグ・パイレーツも同様の取り組みを行い、更に洗練されたデータを用い負傷予防に取り組んでいきます。

ピッチャーの投げる投球において、球種により肘や肩にかかる負担は大きく変わってきます。

靭帯に限らず骨や筋肉の運動器は、いわいる捻じりの負荷のほうが直線的な負荷より弱いとされています。

カーブなどの変化球は捻じり動作が多く加わるため直線的な負荷であるストレートに比べると靭帯損傷のリスクが高くなります。

更にこの力学的負荷に加え、ピッチャーの心理的側面も付加要素として考えなければなりません。

これは試合中の緊迫した場面では、肘と肩に加わる負担と疲労がさらに増すということです。

例えば、走者のいない場面での投球は満塁の走者を背負った場面での投球よりも負荷が少ないと見なされます。

つまり、球種や試合状況の緊迫度合いに応じて1球ごとの負荷が変わってくるわけです。

緊迫した場面では負荷が増加する

この心理的な影響による疲労と負担は、精神的緊張下において自律神経の交感神経の興奮によって発生します。

交感神経の興奮は、過剰な筋肉の緊張をもたらしその筋緊張による張力の増加で靭帯、腱、関節に通常よりも強い負荷をかけることになります。

このように球数、リリースポイント、球種、試合状況など様々な要素をデータに基づいて数値化し、投手の負傷発生防止策に用いていきました。

これらのデータを用いピッツバーグ・パイレーツはそのシーズン中、先発投手には何人か負傷者を出したもののリリーフ投手陣にいたってはほとんど負傷者が出ませんでした。

これは、このブログサイトのメインテーマである肩こり・腰痛予防にも活用できる内容だと思われます。

デスクワークを例に言い換えると球数は労働時間や休憩頻度、リリースポイントや球種は体の使い方である作業姿勢などにあたります。

これらの各要素の負担度合いに強く影響するのが、試合の緊迫した場面状況に言い換えられる精神的ストレスです。

精神的ストレスは肩こり・腰痛の発生要因である各要素の負担を強くも弱くもする大事なポイントです。

野球の緊迫した場面での負担要因増加になるのと同じように、我々日常生活場面での肩こり・腰痛悪化要因と共通する現象だと思われます。

まとめ

今回は、投手の負傷発生予防策に関連したお話しの中で、球数などの物理的な負荷の上にさらに、緊迫した試合状況などの精神面の負担が大きく関連するという説明をしました。

最先端のビッグデータを用いた負傷予防対策は精神的要因を考慮に入れなければ、そのデータ内容は正確性をきすことができないことがわかります。

書籍「ビッグデータ・ベースボール」では野球のみならず、肩こり・腰痛などの筋・骨格系の不調も必ず精神的ストレスを考えなければ、適切な対策を講じるのが困難だということをあらためて学ぶことができました。

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